Room1
2001.09.17
青山光佑展 Koyu Aoyama ローマの壁 muro di Roma
2001年9月17日(月) – 29日(土)
A.M. 11:00 – P.M. 7:00(最終日PM5:30迄)
「美術へのノスタルジー」
青山光佑のひさびさの個展です。
発表される作品の形式はふたつ。ひとつは版画、もうひとつはレリーフと絵画の組み合わせによる一種の混合形式です。「ローマの壁」というのが両形式を通 しての共通タイトルとなっています。
このうちの混合形式の作品は、セラミックによる着衣の女性立像とその背景となるフレスコ画の組み合わせによって構成されていて、その女性立像は顔を両手でおおい隠すというのが特徴となっています。
さて、この4点による混合形式の作品ですが、そこに何を感じとるでしょうか。私は青山のモチーフはヨーロッパ中世の宗教美術へのノスタルジーと見ました。といってこの作品が宗教的というのではありません。むしろ、次のようにいうべきでしょう。青山のモチーフは美術へのノスタルジーであり、そのとき、ヨーロッパ中世の宗教美術の形式に、美術という形式をもっとも強く感じとったのでしょう。作品によって、ほかのなにものでもなく「美術」という形式そのことを改めて強く意識させたいというモチーフ。考えてみれば、奇妙な作品です。
「ローマの壁」が「先史次代の洞窟の壁」であったら、青山の作品はどうなっていたのでしょうか。中原佑介 美術評論家