Room1
2006.06.12

岩切裕子 新作展

 

2006年6月12日(月) – 6月24日(土)
A.M. 11:00 – P.M. 7:00 (日曜日休廊・最終日PM5:30)

bibliotheca lunae

以前プラハを旅したときに、修道院の図書館を訪れたことがあります。
そこは図書館というひとつの建物というよりは、どちらかというと大がかりな書斎という感じで、天井から床までびっしりと書棚がしつらえられていました。革装の重々しい書物が実に美しく並べられていて、実際に手に取ることはかないませんでしたが、眺めるだけで(中身がおそらく私には一字たりとも理解不能な言語であろうとも)、満たされたような気分になったものでした。

図書館を表すbibliothecaは、本来は「書棚(bibliothekai)」の意で、それが転じてたくさんの書棚が置かれた広間を指すようになりました。
紀元前3世紀、エジプトに建設されたアレクサンドリア図書館は、70万巻(当時の本は巻物状であった)超える蔵書を誇っていたのですが、あるとき柱の1本も残らずに忽然と消滅してしまいます。焼失したのか取り壊されたのかは不明ですが、わずかに残った文献によると、この大図書館の書棚には献辞としてこう刻まれていたそうです。『魂の治療所』と。

たくさんの本が並べられた書架の前に立つだけで至福を感じざるを得ません。その厚み、重さ、本の形状そのものもまた、私を惹きつけてやまないのです。

岩切裕子

 

「one, two,buckle my shoe」