Room1
2017.08.21

前山忠展 TADASHI MAEYAMA Exhibition

前山忠展

ー前山忠の視界ー

2017年8月21日(月)ー9月2日(土)

11:00-19:00 (最終日17:00) 日休廊

ギャラリートーク&オープニングパーティー

初日17:30~19:00

 

<前山忠の視界>展に寄せて

2017年8月  前山 忠

   ここ十数年、<視界>をキーワードに物と認識の関係を追及してきた。普通

  <視界>は人間の目がとらえる範囲を指すが、それはかなり部分的で偏った見方

  ではないかと常々思っていた。目の前に広がる風景や情景は、人間の一方的な解

  釈や都合にお構いなく存在しているのではないか、と。

   つまり、物や自然自体の<存在>によって見る側の認識も規定されているので

  はないか。そういう点ではなく<視界>は一方通行ではなく、双方向性を持っている。

□ そんな思いに駆られたのは、今から50年以上も前(確か 1965年)、鏡との

  出会いにある。古い鏡のふちが腐食してガラス状になり、そこに壁が見え隠れし、

  鏡に映る自分と前の壁が鏡の表面に同時存在している不思議な光景に出会った。

  いったい自分は何を見ているのだろうか。鏡の中の自分とそれを見ている自分が、

  実像・虚像という関係を超えて、<同時>かつ<一体化>した存在として現象し

  ている。見ている自分が、同時に鏡から見られている、とその時強く感じた。

   それ以来、鏡の裏側のメッキをカッターで剥ぎ、意図的に一部をガラス状にし、

  そこの新たな異空間を出現させる表現に夢中になった。

□ 近年、鏡のほかにキャンバスの木枠にも大変興味を持っている。木枠といえば

  キャンバスの支持体として裏に隠れるのが普通で、表舞台に出ることはまずない。

  自己主張するでもなく、ひっそりと裏方に徹するこの木枠が、突然全く別の存在

  として<何もの>かに見えたのだ。そこにわずかばかりのアクリル絵の具を塗っ

  てズレを生み出す。同化と異化の異空間が生まれるのが面白くなり、これまた夢

  中になった。

□ この10数年はインスタレーションや野外展が多いが、立体や平面にかかわり

  なく基本的なテーマは<視界>であり、コンセプトはほとんど変わらない。

□ 長年、<美術>や<表現>にこだわってきたのは、非常に個人的な興味関心に

  基づいている反面、実は誰にも共通の問題-世界、存在、身体、認識-いわば普

  遍的な問題としてもあるとの思いもあったからだ。つまり、人間のこれまでの見

  方や概念に満足せず、もっと別の見方や考え方があるのではないか、と<常識>

  を疑うこと、概念を覆すことに、表現の意味と意義を強く感じるようになったか

  らである。

□ 当然それは他に対してだけでなく、自分自身にも向けられるものだ。終わりの

  ない格闘やもがきのようでもあるが、それが自分を支え、自分を生きることにな

  ったのだと思っている。

 

 

 

会場写真(1)

 

 

会場写真(2)

 

 

                      会場写真(3)                                    会場写真(4)

 

 

前山 忠(MAEYAMA TADASHI)略歴

 

1944 新潟県中頸城郡三和村(現、上越市)生まれ

1967 新潟大学教育学部芸能科絵画科卒

 

■主な個展

1966‐67 ルナミ画廊(銀座)

1968   シロタ画廊(銀座)

1978   大島画廊(高田)

1990‐01 アトリエ我廊(新潟)

1992   ヒルサイドギャラリー(渋谷)

2003   コバヤシ画廊(銀座)

2005   シロタ画廊(銀座)

2008   今井美術館(見附)

2009   ギャラリーmu-an(長岡)

2010   コバヤシ画廊(銀座)

2014   アートサロン環(新潟)

2015   羊画廊(新潟)

2016   ギャラリー湯山(松之山)

2017   シロタ画廊(銀座)

 

主なグループ展

1967   新潟現代美術家集団GUN展(長岡文化会館、ギャラリー新宿)

1968   トリックス&ヴィジョン展(東京画廊、村松画廊)

     今日の作家’68展(横浜市民ギャラリー、横浜)

1969   第1回国際彫刻展(彫刻の森美術館)

      ジャパン・アート・フェスティバル(東京-パリ-ロスアンジェルス巡回)

      第9回現代日本美術展(東京都美術館、上野)

1970   GUN・雪のイメージを変えるイベント(十日町・信濃川河原)

      ニルヴァーナ「最終美術のために」展(京都市立美術館、京都)

1971   第10回現代日本美術展(東京都美術館、上野)

1975   第1回東京展(東京都美術館、上野)

1978   「自然と人間の復権」第三世界と結ぶ国際展(東京都美術館、上野)

1986   第1回日本海美術展(富山県立近代美術館、富山)

2000   アジア現代美術展(新潟県民会館、新潟)

2000   大地の芸術祭 越後妻有アート トリエンナーレ(十日町、新潟)

     (’03、’06、’09、’12、’15年)

2001-15 弥彦・野外アート展(弥彦総合文化会館周辺、新潟)

2004   新潟の作家100人展(新潟県立万代島美術館、新潟)

2008-15 越後妻有 雪アートプロジェクト(中里・松代、新潟)

2011   石子順造的世界(府中市立美術館、東京)

2012   GUN-新潟に前衛があった頃(新潟県立近代美術館、長岡)

2015   空間造形展(おやべアートギャラリー、富山)

2016   帯広コンテンポラリーアート2016「ヒト科、ヒト属、ヒト」(帯広の森、北海道)

      KIAF 2016 韓国国際アート・フェア 2016(COEX Hall  A&B、ソウル)