2011.10.24

丹阿弥丹波子 展 銅版 ―メゾチント― 展 シロタ画廊2

2011年10月24日(月)-11月5日(土) 11:00 – 19:00・最終日16:00まで/日曜休

今展では、2006年4月よりはじまった読売新聞の芥川喜好氏連載「時の余白に」の挿画と、本年より担当した月刊誌「なごみ」(淡交社)の扉絵、近作、あわせて25点ご覧いただけます。
「ひとりしずか」 メゾチント 15×11.5㎝「一人静」

大森さんは山形の人です。
郷里に帰るたびに私の喜びそうな山の植物を持ち帰ってくれます。

中でも古新聞の包みから楚楚とした姿を現した一人静は格別でした。
枯らさぬようにと鉢で育てているうちに殖えて殖えて種が庭にこぼれ、
今では林になりかねません。植木屋さんにも雑草扱いされていますが、
それでも私は一人静の群落が大切でなりません。
春先の庭で一人一人思い思いの方角に風に揺れている風情は何とも哲学的です。
「白い花」 メゾチント 36.5×30㎝「墨に五彩あり」と昔の中国の
水墨画家はいいました。五彩とは無限に豊富な色彩のことでしょう。

私の作品は銅版画のなかでメゾチントという技法で、
刷り上がったものをマニエール・ノワール(黒の技法)と称んでいますが、
私は一度も黒白の絵の版を刻っていると自覚したことはありません。
この緑は若い色、この花びらは透き通ったピンク、厚みのある白、ガラスは無色透明、等々。
将に「ノワールに五彩あり」に腐心しています。