Room1
2007.01.22
中村安子 展
2007年1月22日(月) – 1月27日(土)
A.M. 11:00 – P.M. 7:00 (最終日 P.M. 5:30)
東京学芸大学美術科卒 | |
現代美術研究所で3年間学ぶ |
1965年 | 夢土画廊(二人展) |
1979年4月 | シロタ画廊 |
1980年9月15日~20日 | シロタ画廊 |
中村安子は日本アジア、アフリカ、ラテンアメリカ美術会議(略称:JAALA)の会員で、丸木美術館で毎年8月にひらく〈今日の反戦展〉にも出品している。したがって、1970年代以来、一般に社会的主義を喪失してしまった日本の美術界では、社会意識の明確な方といえる。その彼女から9月に、反戦というと構えて硬くなりがちなので、次の個展には自分の息子を思う気持に集中したら、難なく表現できそうだ、という手紙が来た。
ところで、そのころわたしが読み終えたのは、アントニオ・ネグリとマイケル・ハートの共著『マルチチュード』(NHK出版)である。これはアフガン・イラク戦争も、米軍だけでなく国連軍、同盟国軍、多国籍軍、多国籍企業などのネットワークによるとの分析ではじまる。まして反戦運動は人種差別、女性差別、障害者差別などで分断されながら、公と私の分裂をこえ、議会制の限界もこえて絶対的民主主義をめざし、移民相談所、女性センター、インターネット・カフェなど無数の小さなコアをつくる。それらを統一する必要はなく、むしろ小コアの差異性を重視しながら、戦争勢力以上にネットワークをひろげることが課題だというあたりに、わたしは大きな開放感を味わった。とすれば、私生活をみつめるのも、反戦運動にとってけっしてうしろ向きではありえないからだ。 (針生一郎)