窓とカーテン
―窓からの眺め、ユートピア
以前、夜に限定で、家の中で何が起こっているかを想像した展示を行ったが、今回はすべての時間を対象にした。
自分にとって理想の世界を描いてみようと思った。
それは家の中から窓の外を眺めているのと似ている。
本当は逆で、自分の脳内を見ているのだが、その行為はとても開放的である。
自分の内側に開かれた、窓というのか。
そして、窓はスクリーンと似ている。
外から見たり、中から見たり。
家の中または部屋の中が舞台で、現実に何かが行われている、それを覗いているのが窓だ。窓は覗くスクリーンである。
夜の窓は暗闇の映画館を彷彿とさせるが、しかし外が明るく家の中が暗ければ状況は逆転する。光を放っている方が勝ちである。昼間の窓は野外舞台を彷彿とさせる。
家の中、もしくは部屋が上映会を行っている会場で、外が見える窓がスクリーン。家の中に居ながら外界では何が起こっているかを想像してみた。外界の開かれた風景かも知れないし、もしくは覗かれている様子すら眺めるのかも知れない。
窓は内側からの眺めであり、外側からのコレクションボックスでもある。
その一瞬の情景を箱に収めて保存出来るならと思い、作品にしてみた。
それは記憶の保存でもあるし、想像力の保存でも有る。切り取りたい一瞬の宝箱である。
いろいろな意味を込めて、今回の展示は「窓」とした。
そこには想い出と理想、現実が混然となっている。
そしてカーテンは素敵で便利な道具。
上映終わりましたらカーテン閉めます。
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